お役立ち情報詳細
射出成形・塗装の一貫対応でコストダウン!
管理工数削減と品質安定を両立する方法
射出成形の「試作から量産」まで国内一貫対応
― 軽量化・高精度化を支える設備力と技能士による確かな技術 ―


「成形メーカーと塗装メーカー、別々に管理するのが大変…」
「不良が出た際、どちらの工程に原因があるのか分からず解決しない…」
プラスチック製品の量産立ち上げにおいて、このようなサプライチェーン管理の課題に直面していませんか?
特に外観品質がシビアな製品では、プラスチック成形とプラスチック塗装を分離発注することで生じる「見えないコスト」や「品質リスク」が経営課題に直結します。この記事では、プラスチック製品の製造を一貫して委託するメリット(コスト削減・品質向上・納期短縮)について、購買・技術の両視点から解説します。また、プラスチック成形技能士を擁する富士合成ならではの、トラブルを未然に防ぐ生産体制もご紹介します。
1. なぜ「プラスチック成形」と「塗装」を別会社に発注するとトラブルが増えるのか?
プラスチック製品の製造において、プラスチック射出成形と塗装を別々のサプライヤーに発注する「分離発注」は一般的ですが、高度な品質が求められる案件ほど、この体制がリスク要因となるケースが増えています。ここでは、分離発注が引き起こす3つの主要なトラブルと、現場で発生しがちな構造的な課題について解説します。
1-1.見えないコストの発生(横持ち運賃・梱包費・管理工数)
まず直面するのが、見積書には表れにくい「見えないコスト(Hidden Cost)」の増大です。プラスチック成形の工場から塗装工場へ製品を移動させるための「横持ち運賃」が発生するだけでなく、輸送中のキズや打痕を防ぐための「専用通い箱」や「個別包装(パッキン等)」の費用がかさみます。プラスチック成形の直後は、製品が帯電しやすく、埃を吸着しやすいため、厳重な梱包が必要です。
また、購買担当者にとっては、2社分の発注処理、納期調整、在庫管理といった「管理工数」が倍増します。万が一、輸送中に遅延や破損が発生した場合の調整業務も含めると、トータルコスト(TCO)は想定以上に膨らむ傾向にあります。
1-2.品質不良時の「責任のなすりつけ合い」リスク
エンジニアを最も悩ませるのが、塗装不良が発生した際の原因特定です。例えば、塗装後に「塗膜の剥がれ」や「ハジキ(クレーター)」が発生した場合、塗装メーカーは「成形時の離型剤が原因だ」と主張し、プラスチック成形メーカーは「塗装前の脱脂洗浄が不十分だ」と主張するケースが後を絶ちません。
このような「責任の所在が不明確な状態(グレーゾーン)」が発生すると、原因究明に時間がかかるだけでなく、対策費用の負担を巡ってトラブルに発展します。結果として、不良品が倉庫に積み上がり、歩留まりが悪化しても抜本的な対策が打てないまま量産を続けざるを得ないという最悪の事態を招きます。
1-3.リードタイムの長期化と在庫リスク
工程が分断されることは、リードタイム(L/T)の延長を意味します。プラスチック成形終了後、梱包・出荷・輸送・受入検査・開梱という物理的な移動時間が加算されるため、急な増産要請や設計変更への対応力が低下します。また、塗装工程の歩留まりを見越して成形数を余分に確保する必要があり、中間在庫(WIP)が増加します。特に、ジャストインタイム(JIT)納入が求められる自動車部品や、製品ライフサイクルの短い電子機器においては、この数日のラグが機会損失につながるリスクがあります。
2. プラスチック成形・塗装を一貫対応する3つのメリット
トラブルやコスト増のリスクを回避し、プロジェクトを成功に導くための最適解が、プラスチック成形から塗装までを1社に委託する「一貫対応(ワンストップサービス)」です。まずは分離発注と比較して、どれほどメリットがあるかを見てみましょう。
| 比較項目 | 分離発注(成形A社 ⇄ 塗装B社) | 一貫対応(富士合成) |
| 横持ち運賃 | 発生する(往復便・路線便) | 0円(工場内移動のみ) |
| 梱包・開梱 | 2回発生(成形後・塗装前) | 最小限(専用通い箱で直結) |
| 管理工数 | 2社との調整が必要(倍増) | 1社窓口で完結(半減) |
| 不良時の対応 | 原因のなすりつけ合いが発生 | 即座に原因特定・対策 |
| リードタイム | 輸送・受入検査で+3日〜 | 最短スケジュールで進行 |
2-1.トータルコストダウンとサプライヤー管理の効率化
最大のメリットは、コスト構造の簡素化と削減です。成形工場から塗装工場への輸送費(横持ち運賃)がゼロになるだけでなく、輸送用の梱包資材費や、開梱・再梱包にかかる作業工数も削減できます。また、購買担当者にとっては、発注先が1社に集約されることで、見積依頼から発注、納期管理、請求処理までの事務工数が半減します。「成形はA社、塗装はB社」といった複雑なスケジュール調整から解放され、本来のコア業務であるサプライヤー選定やVE(Value Engineering)提案に時間を割くことが可能になります。
2-2.成形段階から作り込む「塗装品質」の安定化
「塗装の仕上がりは、成形で決まる」と言っても過言ではありません。一貫対応であれば、塗装工程を熟知したエンジニアが、金型設計や成形条件の設定に関与できます。例えば、塗装時に目立たない位置への「ゲート(樹脂注入口)」配置や、ウェルドライン(樹脂の合流線)を目立たなくする流動解析、さらには塗装密着性を阻害しない「離型剤」の選定など、後工程を考慮した成形が可能です。
成形と塗装の分業では見落とされがちなこれらのすり合わせが、初期段階で完了しているため、量産立ち上げ時の垂直立ち上げ(早期安定)が実現します。
【プロの視点】塗装不良を減らす「ゲート位置」の重要性
塗装の仕上がりは、金型設計の段階で8割決まります。例えば、樹脂の注入口である「ゲート」の位置が不適切だと、塗装後に「ウェルドライン(樹脂の合流線)」が目立ったり、塗料が回りにくい「袋小路」ができたりします。富士合成では、塗装の職人が金型設計レビューに参加し、「塗装がきれいに仕上がり、かつ液だまりが起きないゲート位置」を成形部門に提案しています。これができるのが、一貫生産ならではの強みです。
2-3.トラブル発生時の迅速な解決(ワンストップ対応)
万が一、製品に不具合が発生した場合でも、一貫対応なら責任の所在が明確です。「成形時のガスによるものか」「塗装時の異物混入か」といった原因究明を、社内の成形部門と塗装部門が連携して即座に行います。物理的な距離がないため、現物を前にして合同検証ができ、対策(成形条件の変更や前処理の強化など)もスピーディーに実行されます。この「フィードバックループの速さ」こそが、品質を早期に安定させ、安定供給を維持するための鍵となります。
3. 富士合成が選ばれる理由|技能士集団による高品質な一貫生産体制
富士合成株式会社は、単なる「塗装ができる成形会社」ではありません。国家資格を持つ技能士と、最新の検査設備に裏打ちされた「技術者集団」として、家電・自動車・医療機器メーカー様の厳しい要求に応え続けています。
3-1.50t〜450tまで対応!計26台の射出成形機と柔軟な生産力


当社は、50トンクラスの小型機から450トンクラスの中型機まで、計26台の射出成形機を保有しており、精密な電子部品から大型の筐体パーツまで幅広いサイズに対応可能です。「小ロット(数十個)の試作」から「月産数万個の量産」まで、お客様の生産計画に合わせて柔軟なライン編成を行います。また、他社で作製された「金型の持ち込み(移管)」にも対応しており、サプライヤー切り替え時の受け皿としても多数の実績がございます。
3-2.数値データで保証する品質管理(3次元測定機・分光測色計)
「なんとなく綺麗」といった曖昧な基準は排除し、数値に基づいた品質保証(QA)を徹底しています。キーエンス製の3次元測定機による寸法精度の確認はもちろん、塗装においては「分光測色計」を用いた色差(ΔE)管理や、「膜厚計」による塗膜厚の管理を実施しています。
外観品質に厳しい自動車内装部品や医療機器においても、お客様の図面・仕様書に基づいた検査成績書を発行し、確かなエビデンスと共に製品をお届けします。
4. 【事例紹介】金属部品を「プラスチック成形+塗装」で樹脂化しコストダウンを実現
ここでは、実際にプラスチック成形から塗装までを一貫してご依頼いただき、大幅なコストダウンと機能向上を実現した事例をご紹介します。
事例:金属部品の樹脂化による軽量化とコスト削減
かつては金属(ダイカスト等)で作られていた部品を、高強度なエンジニアリングプラスチックに変更し、金属調の塗装を施すことで「樹脂化」を実現しました。
- コスト削減
金属加工に比べ、射出成形による大量生産効果で単価を抑制。さらに一貫生産により物流コストも削減。 - 軽量化
重量は金属比で大幅減。製品全体の軽量化に貢献 - 外観維持
当社の金属調塗装技術により、金属部品と遜色のない高級感ある外観を実現。
既存の金属部品のコストや重量にお悩みの場合も、金型設計から塗装までトータルでご提案いたします。
>>事例の詳細はこちら(射出成形+塗装で実現する金属部品の樹脂化について解説!)
5.よくある質問(FAQ)
Q. 他社で作った金型を持ち込んで、成形と塗装をお願いできますか?
はい、可能です。金型の仕様を確認させていただき、当社の成形機(50t〜450t)に適合すれば対応いたします。老朽化した金型のメンテナンスや修正もご相談ください。
Q. 試作や小ロット(数十個)でも対応してもらえますか?
はい、対応しております。量産前の試作開発や、多品種少量生産の製品でも、成形から塗装まで一貫してお引き受けします。
Q. 塗装だけの依頼や、成形だけの依頼も可能ですか?
可能です。ただし、外観品質を最優先される場合は、トラブル防止の観点から一貫でのご依頼を推奨しております。まずは現状の課題をご相談ください。
6. 技術相談・お見積りはこちら

プラスチック成形と塗装の分離発注による「管理コストの増大」や「品質トラブル」にお悩みではありませんか?
富士合成株式会社なら、金型・成形・塗装・組立までをワンストップで対応し、御社の調達業務を強力にサポートします。
「現在のサプライヤーから切り替えたい」「塗装品質を安定させたい」というエンジニア・購買担当者様は、ぜひ一度お問い合わせください。