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射出成型・射出成形

射出成型とは?プラスチック成形の仕組みと工程を徹底解説

<目次>

1.射出成型とは

2.射出成型の仕組み・工程

3.射出成型に使われる主な樹脂材料

4.射出成型の特長とメリット・デメリット

5.射出成型でよく起きる外観不良と対策

6.射出成型後の「塗装・加飾」が製品価値を高める理由

7.よくある質問(FAQ)

8.まとめ

1. 射出成型とは

射出成型(射出成形)とは、加熱して溶かしたプラスチック樹脂を金型に高圧で注入し、冷却・固化させることで製品を成形する加工技術です。英語では「Injection Molding」と呼ばれます。

日常生活で目に触れるプラスチック製品の多くは、この射出成型で作られています。スマートフォンのケース、家電製品の筐体、自動車の内装パーツ、医療機器の外装、日用品の容器など、その用途は非常に幅広いです。

射出成型が広く普及している最大の理由は、「複雑な形状でも寸法精度高く、大量に、低コストで量産できる」点にあります。金型を一度製作すれば、同じ品質の製品を何万個・何十万個と安定して作り続けることができます。

<注釈>「射出成型」と「射出成形」について

「射出成型」と「射出成形」はどちらも同じ加工方法を指します。製造業の現場では「成形」の表記が一般的ですが、検索・日常会話では「成型」と書かれることも多いため、本記事ではどちらの表記もご案内します。

2. 射出成型の仕組み・工程

射出成型のプロセスは、大きく次の5つの工程で構成されています。

工程①:計量・可塑化(かそか)

ホッパー(漏斗状の部品)からペレット状の樹脂原料を射出成形機に投入します。スクリューと呼ばれるらせん状の部品が回転しながら樹脂を前方に送り、同時にシリンダー(筒)内のヒーターで200〜300℃に加熱して溶融させます。この工程を「可塑化(溶融)」といいます。

工程②:型締め

金型を閉じて、射出圧力に耐えられるよう強い力で固定します。この力を「型締め力(トン数)」といい、成形する製品のサイズや樹脂の種類に応じて、数十トンから数千トンまで様々な機械が使われます。

工程③:射出(充填)

溶融した樹脂をスクリューで押し出し、「ゲート(注入口)」から金型のキャビティ(製品形状の空間)内へ高圧で射出します。この充填は一般的に数秒で完了します。射出速度・圧力が製品の品質に大きく影響するため、精密な条件設定が必要です。

工程④:保圧・冷却

樹脂が充填された後、収縮による「ヒケ(表面の凹み)」を防ぐために一定の圧力をかけ続けます(保圧)。その後、金型内の冷却水でプラスチックを冷却・固化させます。冷却時間は成形サイクル全体の中で最も長く、製品の肉厚や材料によって数秒〜数十秒かかります。

工程⑤:型開き・取り出し

樹脂が十分に固化したら金型を開き、エジェクターピンで製品を押し出して取り出します。取り出した成形品はバリ(余分な樹脂のはみ出し)のカットや外観検査などの後工程へと送られます。

この①〜⑤のサイクルを繰り返すことで、連続的に製品を量産します。製品のサイズや形状にもよりますが、1サイクルは一般的に10秒〜1分程度です。

3. 射出成型に使われる主な樹脂材料

射出成型で使用できる材料(熱可塑性樹脂)は非常に多様です。製品に求める機能・外観・コストに応じて最適な材料を選定することが、品質と収益性を左右します。

ABS樹脂(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)

射出成型で最もよく使われる汎用エンジニアリングプラスチックのひとつです。成形しやすく、塗装との密着性が高いため、家電・自動車内装・OA機器のカバーなど外観部品に広く採用されています。

特徴: 耐衝撃性・加工性・表面光沢に優れる。難燃グレードや耐熱グレードなど派生品も豊富。

PC樹脂(ポリカーボネート)

高い透明性と優れた耐衝撃性を持つエンジニアリングプラスチックです。スマートフォンのボディ、医療機器のカバー、自動車ランプのレンズなどに使用されます。

特徴: 透明度が高く光学部品向き。耐熱性も高い。ただし薬品への耐性が弱く、スクラッチ(傷)がつきやすいため塗装やコーティングとの組み合わせが多い。

PP樹脂(ポリプロピレン)

軽量・低コストで成形しやすい汎用樹脂です。食品容器から自動車バンパー、医療用品まで幅広く使われます。

特徴: 耐薬品性・耐水性が高く、コストパフォーマンスが良い。一方、塗料が密着しにくい特性があり、塗装前の「プライマー処理」や「フレーム処理」が必要になるケースがある。

PA樹脂(ナイロン)

高い機械強度と耐熱性を持ち、エンジニアリング用途に多く使われます。自動車のエンジン周辺部品や工業用部品などに採用されます。

特徴: 吸水性があり、寸法安定性に注意が必要。ガラス繊維強化グレード(GF)では表面にガラス繊維の浮きが出やすく、塗装で隠蔽するケースが多い。

まとめ表

樹脂主な用途塗装適性
ABS家電、自動車内装、OA機器◎(プライマー不要の場合も多い)
PCスマートフォン、医療機器、光学部品○(傷防止コーティングと相性良)
PP自動車外装、食品容器、日用品△(プライマー処理が必要)
PA(ナイロン)自動車部品、工業用途△(GF浮き→塗装で隠蔽が有効)

4. 射出成型の特長とメリット・デメリット

メリット

① 複雑形状の量産が可能
金型を使うことで、アンダーカット・リブ・ボス・ねじ形状など、切削加工では難しい複雑な形状も一度の成形で作ることができます。

② 高い寸法精度と再現性
精密な金型と適切な成形条件により、±0.1mm以下の寸法精度を安定して維持できます。量産品でも1個目から10万個目まで同じ品質で作れます。

③ 生産速度とコスト効率
1サイクルが短いため、大量生産時の単価を大幅に下げられます。金型の初期投資は高いですが、ロットが増えるほど1個当たりコストが下がります。

④ 多様な材料・色に対応
数百種類以上の熱可塑性樹脂から最適な材料を選べます。材料着色(原着)で様々な色に対応できるほか、塗装・印刷・メッキなどの後加工で意匠性を大幅に高めることも可能です。

デメリット

① 金型の初期コストが高い
金型の製作には数十万〜数百万円の費用と数週間〜数ヶ月のリードタイムが必要です。少量生産や試作段階ではコスト的に合わないことがあります。

② 設計変更が困難
金型を一度作ると、大幅な形状変更は追加の金型修正費が発生します。試作・設計検証の段階で品質を作り込むことが重要です。

③ 外観不良が発生しやすい
次章で解説するヒケ・ウエルドライン・フローマークなど、成形特有の外観不良が発生することがあります。高意匠が求められる製品では塗装との組み合わせが有効です。

5. 射出成型でよく起きる外観不良と対策

射出成型では、樹脂の流動特性や冷却収縮の影響で様々な外観不良が発生します。設計者・品質担当者が知っておくべき代表的な不良とその対策を解説します。

ヒケ(sink mark)

原因: 肉厚の厚い部分や、リブ・ボスの裏側では、冷却時の収縮量が多く、表面が凹む現象です。
成形での対策: 保圧の増加、金型冷却の最適化、肉厚の均一化(設計変更)。
塗装での対策: サーフェーサー(下地塗料)を厚塗りしてヒケを充填し、研磨で平滑化する。深いヒケは完全な隠蔽が難しいため、成形段階での対策が基本。

ウエルドライン(weld line)

原因: 複数の経路から流れてきた溶融樹脂が金型内で合流した際、接合部に線状の跡が残る現象。ゲートが複数ある場合や、穴(ボス・穴形状)があると発生しやすい。
成形での対策: ゲート位置の変更、樹脂温度・金型温度の最適化。ただし完全に消すことは困難な場合が多い。
塗装での対策: 適切な塗装処理(プライマー+上塗り)により、視覚的に目立たないレベルまで隠蔽することが可能。意匠性が求められる製品では塗装前提の設計が合理的。

フローマーク(flow mark)

原因: 樹脂が金型内を流れる際の温度変化や速度変化で生じる波状・縞状のパターン。ゲート周辺に出やすい。
成形での対策: 射出速度・樹脂温度・金型温度の調整、ゲート径の変更。
塗装での対策: 上塗り塗料で表面を均一化することで目立たなくすることが可能。

バリ(flash)

原因: 金型のパーティングライン(合わせ面)や入れ子の隙間から樹脂がはみ出したもの。
対策: 型締め力の増加、金型のメンテナンス(クリーニング・修正)。後加工でのバリ取りが必要になることもある。

6. 射出成型後の「塗装・加飾」が製品価値を高める理由

射出成型で成形されたプラスチック部品は、そのままでも製品として使えるケースが多いですが、塗装・加飾を施すことで品質・機能・意匠性が大幅に向上します。

なぜ射出成型品に塗装が必要なのか


射出成型だけでは対応が難しい課題があります。

意匠性の限界: 材料着色(原着)では、深みのある光沢感や金属質感を表現するのが難しい
外観不良の隠蔽: ウエルドラインやフローマークは成形条件の調整だけでは完全に消せない
表面機能の付加: 耐傷性・耐候性・帯電防止・撥水性など、樹脂素材だけでは得られない機能を追加したい

塗装はこれらのすべての課題を同時に解決できる後加工技術です。


射出成型品に施せる代表的な塗装・加飾

塗装・加飾の種類目的・効果
UV塗装(ハードコート)耐傷性・耐摩耗性の付加。スマートフォン・PC周辺機器に多用
金属調塗装(VMC)金属のような高輝度感。メッキの代替としても注目
ピアノブラック塗装漆黒の深い艶感。高級家電・車載パネル向け
ソフトフィール塗装ゴムのようなしっとりとした触感を付与
LINE-X塗装極めて高い耐衝撃性・耐久性。自動車外装・産業機器向け
アルティメットコート鉛筆硬度6H以上の超高硬度コーティング(富士合成独自開発品)
パール塗装・特殊パターン塗装化粧品容器・高単価民生品向けの意匠性向上

射出成型と塗装を一貫対応するメリット

成形と塗装を別々のメーカーに依頼した場合、「不良の原因が成形側か塗装側か判断できない」「輸送コスト・管理工数が増える」「金型設計と塗装設計がかみ合わず不良が発生する」といった問題が起きやすくなります。

富士合成株式会社では、金型設計・射出成形・塗装・組立を一貫対応しています。成形段階から塗装後の仕上がりを見据えた金型設計・ゲート位置の提案が可能なため、手戻りが少なく、量産立ち上げをスムーズに進められます。

→ 一貫対応のメリットについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
射出成形・塗装の一貫対応でコストダウン!管理工数削減と品質安定を両立する方法

7. よくある質問(FAQ)

Q. 射出成型の最小ロット数はどのくらいですか?

A. 金型製作後であれば、数十個の小ロットから対応可能です。ただし、金型の初期コストが発生するため、少量生産の場合はコストが高くなりがちです。量産移行を前提とした試作段階での依頼でも対応しています。富士合成では試作から量産まで一貫対応しており、まずはご相談ください。

Q. 射出成型と切削加工(NC加工)はどう使い分けるのですか?

A. 射出成型は金型が必要ですが、大量生産時の単価が低く、複雑な形状も再現性高く作れます。切削加工は金型不要で小ロット・試作向きですが、量産コストは高くなります。一般的に1,000個以上の量産が見込まれる場合は射出成型が合理的です。

Q. 射出成型後に塗装を追加した場合、費用はどのくらい変わりますか?

A. 塗装の種類・面積・ロット数によって大きく異なります。ただし、成形と塗装を一貫対応することで輸送コストや管理コストが削減でき、トータルコストが分離発注より安くなるケースも多いです。お気軽に見積をご依頼ください。

Q. 試作1〜数個からお願いできますか?

A. はい、試作段階からご対応しています。金型の設計・製作から塗装まで、少ない個数でもご相談ください。試作段階でのDFM(製造を考慮した設計)支援も行っています。

Q. 他社で作った金型を持ち込んで成形・塗装をお願いできますか?

A. はい、金型の持ち込みにも対応しています。富士合成の成形機(50t〜450t)に適合する金型であれば受け付けており、サプライヤー切り替えの際の受け皿として多数の実績があります。

8. まとめ

射出成型は、プラスチック製品の量産に欠かせない成形技術です。仕組みを正しく理解することで、設計段階から品質・コスト・納期を最適化することができます。

本記事のポイントをまとめると、以下のとおりです。


1.射出成型とは、溶融樹脂を金型に射出して冷却・固化させる成形方法
2.工程は「計量・可塑化 → 型締め → 射出 → 保圧・冷却 → 取り出し」の5ステップ
3.ABS・PC・PP・PAなど、製品用途に合わせて最適な材料を選定することが重要
4.ヒケ・ウエルドライン・フローマークなどの外観不良は、成形条件の調整だけでなく塗装との組み合わせで解決
5.射出成型後に塗装・加飾を施すことで、意匠性・機能性が大幅に向上する
6.成形と塗装の一貫対応により、コスト・品質・納期すべての面でメリットが生まれる


富士合成株式会社は、金型設計・射出成形・塗装・組立を一貫して対応できる樹脂成形メーカーです。「どんな材料が自社製品に合うか」「外観不良を解消したい」「コストを下げたい」など、お気軽にご相談ください。

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